11月11日に自殺をすると予告した手紙が文部科学大臣あてに出された。真偽ははっきりしない。差出人は不明。いたずらの可能性もある。ただし、いたずらにしては文面に感情がこもっており、極めて本物に近く、単なるいたずらではなさそうだ。
とりあえず、この手紙の差出人を少年Aとしよう。少年Aは自分をいじめた人たちに復讐のつもりでこの手紙を書いたことがありありとわかる。いじめた生徒の両親や学校の先生にまで恨みの言葉がつづられている。さて、みなさんはこの手紙をどう読み取るか?
実をいうと、脳の生理学上、少年Aのとった行動は、イスラエルやイラクでの自爆テロリストの行動原理と似ている。自分の死を賭けることがまず共通点。命を賭けることは生物界でもっとも強い力を得たことと同じ意味になる。なぜならば、死を恐れない場合、原子爆弾ですら怖くないからだ。もちろん、やくざも怖くない。いじめたやつらも怖くない。つまり、死を賭けた瞬間に生物界で最大の力を得たことになる。
この力を利用すれば、文部科学大臣ですら動かすことが出来る。マスコミも動かすことができる。人を大勢殺すこともできるし、国民を震え上がらせることもできる。自殺はそれほどに大きな力を得る道具になる。
自爆テロリストはまさに、この心理から自爆を行う。生物最大の力を得て、自分を窮地に追い込んだ社会に復讐するために行われる。
今回の自殺予告手紙はまさにテロリストたちの心理と少しも違いがないのである。全く同じと言ってもいいすぎではない。まさに、この少年Aは今、自殺という世界最強の武器を手にして陶酔している。
これを期に少しだけ考え直してほしいことがある。いじめ問題はいじめられる側にも、大きな問題があるということを。
私は前々から述べているが、いじめる側といじめられる側の脳のシステムはほぼ同じ。負けたくないという勝ちにこだわる欲求が極めて強いことだ。その欲求が外にでるといじめ側になり、内に出るといじめられる側になる。
人間の社会では団体行動をすると、必ず序列が生まれ、命令する者と従う者ができてしまう。ところが学校では全員を平等に扱わなければならないために、この序列を無視しなければならない。ここで、「従うことがイヤ」だという人間が複数現れた場合に闘争が起こる。
通常、闘争によって暗黙の序列が生まれ、命令者と従う者に別れるのだが、闘争を避けつつも「絶対に従いたくない者」も生まれる。これがいじめられっこになる。いじめられっこになる者は闘争はしないが、絶対に従わないという内なる闘争を繰り広げる。しかも、校則を武器にして、先生にちくったり親にちくったりもするという、陰湿な対抗手段をとる傾向が高い。つまり、自分が闘争しない代わりに、親や先生に代理闘争をしてもらおうという戦法だ。これがさらにガキ大将のいじめ心に火をつけることになる。
誓って言うが、人間は社会性の動物がゆえに、意味のないいじめは絶対にしない。本当の弱者に対してはいじめないのだ。これが社会性のある動物の本能である。もう一度誓って言う。人間は本当の弱者に対してはいじめを行わない生き物だということ。
しかし、社会の序列に従わない、反抗的な弱者に対しては、陰湿ないじめをする。これも本能である。弱者のくせに従わない場合、それは体に覚えこませるしかない。
今回のいじめ苦の自殺予告は、そうした「いじめられる側の人間」の心の暗闇を浮き彫りにしたと言える。いじめられる側にきちんとしたいじめられる理由があることがわかったわけだ。つまり、自分の命を懸けてでも、文部科学大臣に訴えるという、絶対に屈しない闘争心があることが暴露されたわけだ。
弱者なのにもかかわらず、これだけ強い闘争心を持っていれば、絶対にいじめられる。それはあまりにも当たり前の話なのだ。これだけの闘争心があるのなら、きちんといじめっこと決闘すればいい。そして序列に決着をつければいい。しかし、決闘すれば負けるとわかっているので、絶対に負けたくないから決闘しないのである。これは卑怯というもの。さらに、自分たちの序列の問題なのに、周囲の大人たちを巻き込み、自分の命を削ることで同情を集め、いじめっこを攻撃させてしまおうという 陰湿な攻撃を行っている。
いじめられっこは自分がどれだけ陰湿な攻撃をしているか、全く気付いていないのだ。この陰湿さがいじめっ子のはらわたをを煮え繰り返させていることを。
そして、もう一度言う、人間は本当に弱い者をいじめることはしない。なぜなら社会性のある動物だからだ。
さて、いじめを苦にした自殺と、テロ事件は数々の共通点がある。まず、逃げ場所がないということ。いじめられ、しいたげられても、逃げるところがない。イラクはまさに、今、そういう状態である。家庭環境が劣悪であるということ(親の愛情が希薄)。テロリストを志願する子たちの家庭環境もまた劣悪で、親の愛情が行き届いていない。
さて、大脳生理学的には、AV女優も立派なテロリストである。自殺志願者である。あれは自分の体を殺しはしていないが、魂を殺している。親からもらったボディーを粗末にすることで、親に復讐しつつ、セックスを武器にしてしまうというテロリストなのだ。セックスが武器にできれば、強姦されたとしても怖いものは何もない。失うものが何もないのだから。そういう意味でテロリストである。AV女優志願と自殺志願の原理も、大脳生理学的には大差がない。
AV女優志願者もまた、親からの愛情をまともに受けていない家庭に育っていることが多い。
ここまで大脳生理学的に見ていくと、いじめへの対策は学校だけがいくらがんばっても困難だということがわかる。
まず、家庭環境が悪ければ、子供に不屈の闘争心が芽生えてしまい、誰にも服従しない、非社会性の強い人間ができあがってしまう。これが、いじめ問題の根本である。
バブルがはじめ、経済が困窮し、せまい土地に押し込められて、逃げ場を失えば、いじめられる人間は必ず出る。そして自殺してでも復讐しようとする闘争心が生まれる。
ただ、残念なことが一つだけある。現在、世の中に出ているスターたち、大会社の社長など、あらゆる成功者たちは、昔、いじめられっこだったということである。彼らは劣悪な環境に育ち、親の愛情をまともに受けていなかったことが多い。だからこそ不屈の闘争心が生まれ、現在、成功者として君臨している。
いじめられっ子こそ、将来の成功者予備軍であるのだ。それを自殺などというつまらない手段で、つまらない復讐に命をかけてしまうことが残念だ。
こういう残念なことが起こらないようにするためには、逃げ場を作ってあげるしかないのである。
劣悪な家庭環境を改善させることは不可能なのだから。