亜澄さんの両親が24日、心境を記した手記を弁護士を通じて報道各社に寄せた。要旨は次の通り。
「娘亜澄の死亡と次男の凶行とがどうしても結びつかず、私ども家族の苦しみ悩むところでございます。
亜澄と勇貴の関係についてですが、「3年間も口をきかなかったような冷たい関係」と報道されていますが、それは若干事実と違います。亜澄の短大の入学についても、勇貴が懸命にパソコンで探し当て、やっと入学期限に間に合ったという経緯からも、兄妹の関係は決して険悪というものではありませんでした。
しかし、亜澄の他を顧みない自由奔放な性格と言動は、家族から理解されていなかったのは事実です。こうした亜澄の生活態度を見ているうちに、亜澄と1歳しか違わない勇貴は、妹が両親を悩ます元凶と思い込むようになったのではないかと思います。
今となっては、何故あの時、亜澄が「ご免なさい」と兄に謝ってくれなかったのか、もし、謝ってさえいてくれれば、兄も我に返り、このような凶行に至らずに済んだのではないか、と今更ながら詮無(せんな)い繰り言を繰り返す日々でございます。(Asahi.com)」
亜澄さんは芸能界を志望していたが、芸能界への憧れは、人生を狂わすことがよくある。私の周囲にも芸能ゴロツキに乱交パーティーの餌食になったタレントたちがいるし、どうしてもタレントになりたくてアダルトビデオ業界に入った人もいる。本当に、汚いことが何でもありの世界が芸能界だが、それでも命をかけて、夢を見て、芸能界に進もうと努力している人は多い。アイドルが胸にシリコンをつめるなんて、当たり前の世界。
そういう芸能界の底辺を疾走していると、心が荒れてくる。そして反社会性が膨らんでいく。自分が有名になれないことへの失望、自分の才能を認めない人への怒り、まともに仕事をしている人たちに対する批判。こういうものが蓄積してくる。
当然、両親はそうした「すさんだ精神」の亜澄さんの目を覚まさせてやろうと、金銭的にも肉体的にも精神的にもプレッシャーをかける。ところが、反社会性が芽生えてきている亜澄さんにとって、両親のプレッシャーは許せないものである。したがって家族全員VS亜澄さんの家庭内戦争が激しかったはずだ。
特に、兄の二人は両親から金銭的援助をたくさん受けている。予備校の授業料もべらぼうに高い。にもかかわらず、亜澄さんはそういう金銭的援助をしてもらえない。だとすると、亜澄さんの怒りは、親に対しても相当強かったと思われる。
正直な話、親にとっても、兄にとっても、亜澄さんはうっとうしい存在であっただろう。まさに家の中のテロリストだったわけだから。
今回の両親の発言を見ると、両親が亜澄さんにあまりいい感情を持っていなかったことがわかる。殺された被害者は亜澄さんなのに、「亜澄が謝っていれば…」と感想を述べ、まるで被害者は兄の方あであるかのようなニュアンスがある。亜澄さんは家庭内では問題児だったのだろうなあ。
もう一度言う。芸能界はここまで、人間を問題児にさせてしまう威力があるということだ。もちろん、芸能界を目指した人の1割は成功するが、9割は失敗する。そして心がすさんでいく。だから、親が子供に芸能界を進めないのは当然だ。
ただし、それでも、芸能界で万一有名になれたら、その後は大きな権力を持ち、生きることができる。まさに大ギャンブルである。芸能界を目指しているみなさん! 本当にたいへんなところだと思う。
さて、もう一つ。死体をバラバラにするのは、犯罪を隠すためだとおっしゃる犯罪心理学者がいたが…、そんな単純な心理で、バラバラにはできない。これは犯罪心理ではなく、価値観である。
犯罪を隠すというのは、犯罪を後悔している時にするものだが…人は犯罪を全く後悔していない場合、隠そうとはしない。例えば、テロリストは大量に人を殺すが、後悔していないから犯罪を隠したりしない。
同様に、死体をバラバラにするのは、単に隠すために行われるのではない。これは殺人に対して、後悔がないときに行われる。
考えてみよう。衝動で人を殺した場合、人は罪の意識を感じ、後悔する。これは当たり前だ。衝動であればこそ、後悔する。さて、後悔している人間がさらに死体をバラバラにできるかどうかということだ。たとえ、犯罪を隠さなければならないとしても、それでもバラバラにできない。それは後悔しているからだ。反省しているからだ。
ところが、最初から全く後悔も反省もない殺人であった場合はどうだろう? この場合、相手を人間ではなく、物と考えることができるので残虐なこともかなり平気でできてしまう。バラバラにするという行為に、反省や後悔はないのだ。恐らく「亜澄は死んで当然! 世の中の悪」と兄は思っていただろう。
身の毛のよだつ凶悪殺人犯の心理は、反省や後悔をしないというのが特徴であり、これは人間行動学的にとてもつじつまがあうことなのだ。したがって、最近、夫の死体をバラバラにした不倫主婦の話もあったが、彼女も夫を殺害したことに後悔をしていないはずである。
今回の事件でも、兄は後悔していないからバラバラにできる。異常性犯罪者との見立てもあるが、性犯罪者であろうと、後悔していたら、バラバラにはできないものだ。
それともう一つ。凶悪殺人に共通の犯罪心理がある。それは自分の命が軽いということだ。死ぬことに強い恐怖を覚えていない。自分の命が安いから、他人の命も安く感じる。
これはテロリストの法則でもある。自分の命の安さに怒った人の暴挙としてテロが行われる。命が高い人は誰かを巻き添えに死ぬなんてことはしない。
つまり、兄の勇貴くんは、いろんなストレスで、命が極端に軽くなっていたわけだ。
国民にストレスが増えると、国民の命が軽くなる。そうなると殺人も軽くなる。今、イラクでは国民のストレスがピークになり、イラク人全員の命が軽くなっている。その結果毎日テロだ。ストレスがかかると、命の価値が下がる。これは人間も動物も、全く同じようだ。
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